ワールドシップオーケストラ(Worldship Orchestra)
活動概要
NPO法人ワールドシップが主催するワールドシップオーケストラ(WSO)は、2014年に設立された特定非営利活動法人です。ベネズエラ発祥の音楽教育プログラムであるエル・システマをモデルとし、主に東南アジア各国(カンボジア、フィリピン、インドネシア)で、オーケストラに馴染みのない人や子どもたちに音楽を届けるための活動をしています。海外プロジェクトは、2~3月及び8~9月の2シーズン行われます。各国1週間という短いプロジェクトですが、小学校や商業施設などで演奏したり、現地のオーケストラ団体の方々と共演したりと、本当に密度の濃い貴重な体験ができます。
活動の感想
早稲田大学社会科学部 橋本 莉紗(2020年度卒業生)
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1970年代のカンボジアでは、ポル・ポト政権によって多くの知識人が虐殺され、教育、医療、芸術などが根絶されたという過去があります。このことから、現在も教師が不足しており、小学校では音楽の授業が少ないというのが実情です。
私は5歳からヴァイオリンを習っており、また、東南アジアの教育問題に関心があったことから音楽の魅力をできるだけ多くの人に伝えたいと思い、高校1年生の2月に初めてWSOのカンボジアプロジェクトに参加しました。現地で特に印象的だったのは、小学校での公演で演奏を聴いていた子どもたちです。目を輝かせながら楽しそうに演奏を聴いている彼らの姿を見て、音楽を届けた私たちこそが、実は彼らからたくさんの勇気や笑顔を貰っていたことに気づかされました。
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この体験から、私はより多くの子ども達に音楽を届けたいと思い、高校2年生の夏にWSOのフィリピンプロジェクトにも参加しました。フィリピンではスラム街のトンド地区へ足を運び、そこで楽器を学んでいる子どもたち(トンド室内合奏団)と共に演奏をしたり、楽器を教えたりする機会がありました。WSOでは数年にわたって彼らを支援しており、その中には、決して恵まれた環境ではないにも関わらず、努力の結果、音楽大学に合格するという夢を実現させた子もいます。このようにWSOでの経験があったからこそ、私は音楽をはじめとする情操教育がいかに子どもたちの将来にとって大切であるかを実感することができました。
大学に入学した現在、私は東南アジアなどの途上国での貧困や教育問題について研究し、将来は途上国の教育問題に携わる国際協力の職に就きたいと思っています。是非皆さんも、様々なことにチャレンジできる多感な中高生のうちに、自分が興味のある分野と趣味や特技を組み合わせた活動を見つけ、果敢に挑戦してみてください。