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2013.10.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#96 創立80周年にむけて

2013.10.01
市川学園理事長・学園長 古賀 正一nazuna0928

 10月は陰暦神無月(かんなづき)、日本気象協会の『季節のことば36選』では、紅葉前線、秋祭、冬支度であり、二十四節気では寒露(かんろ;肌寒さを覚える)、霜降(そうこう;早霜)です。

9月8日に実施した保護者懇談会では、『創立80周年(2017)に向けて市川学園のめざすもの』と題して40分ばかりパワーポイントを使い、お話しましたが、今後、2014年以降の新しい中期目標と中期計画で更にステップアップします。

市川学園のめざすもの・・・創立80周年にむけて

1、グローバル時代に社会が求める人材(人財)の育成

創意工夫・イノベーションなどに意欲的であり、たくましく国際性ある若き人材が求められる。基礎学力・教養、英語力を前提としつつ、求められる人材の共通項は、①熱意、意欲②行動力③チームワーク④人柄(誠実・明るさ・素直)⑤課題解決力、その他論理的思考・説明力などである。

2、市川学園のめざすもの・・不易と流行(変革)、高くより高くへの挑戦

1)目指す学園; 建学の精神を不易とし、変革・進歩を続け、更に卓越した中高一貫校をめざす。
教養(リベラル・アーツ)教育と人間教育が学園教育の基盤となる。真理と学問、自由と規律が指導原理の学園風土を確立する。

2)生徒像; グローバル時代に世界で活躍できる品格あるリーダーをめざす。
具体的には各自が持つ特色を十二分に伸ばし、第三教育を会得し、将来の紳士淑女たる品格ある人材。前向き主体的に活躍し世のため人のため貢献する。強さとたくましさと共に、思やりと優しさを持つ人間性を大切に。教養の上に得意や深い専門を持つV字型人間を目標とする。

3)教職員の教育力; 学ぶ共同体の一員として、各自が品格と指導力を持ち、切磋琢磨し、全員が卓越した教職員をめざす。
ネット社会での教育の変革は急速であり、教育研究を怠らない。優秀な教員の獲得と教員研修に最大注力する。

4)学園経営; 経営の安定、学校統治、法令順守は基本である。
学園周辺の整備、第三教育センターの更なる充実、竣工以来10年たった建物の補修整備、生徒の安全・災害対策設備備品の充実、新情報システムの構築など重要。

3、最近の学園教育活動での新しい試みと施策;卓越性した5つの力の教育

1)  真の学力と教養; 
知識投入(インプット)教育とともに、課題探究、深く考え調べる力、発表力、討論・対話力、論文作成力などアウトプット型教育を各教科・各学年ともに拡大している。教養教育のため、外部講師特別授業(世界のビジネス、EUの紹介など)、恒例の土曜講座(今年度も山崎直子宇宙飛行士など15講座)など自主参加型講義を多数投入。昨年から始めた市川アカデメイア(哲学の対話学習)は高校2年60名に拡大。プラトン『クリトン』、からE.フロム『自由からの逃走』まで哲学・社会科学の10の名著の要所を熟読し、生徒同士の自由な対話を通じ理解を深める。ネットで素晴らしい講義が無料で学習できる昨今、コーセラ(Coursera)など世界一流大学の英語でのオンライン授業の受講(東大村山斉教授、藤原帰一教授など)、世界で500万人参加の教科オンライ教育カーン・アカデミー(Kahn Academy) 受講を副校長が陣頭で指導。

2)  目指す進路への進学力と進学実績の更なる向上;
今年念願の東大13名合格を達成した。現役東大20名以上など難関国公立、難関私立など第一希望の大学への入学必達へ指導する。人生悔いなしとしたい。また海外の卓越した大学に入学できる学内支援体制をつくる。

3)  人間力を養う(人格の陶冶);
生徒指導冊子『紳士淑女たれ・・noblesse oblige(ノーブレス・オブリージュ)』を作成、特に基本心得7箇条を重視(挨拶、時間厳守、身だしなみ、整理整頓清掃清潔、物を大切に、思いやり、第三教育と自立心)。中3は『高校生の読んでいる(新渡戸稲造の)武士道』の熟読と実践、訳者の4回講義。

4)  サイエンス力(科学力); 文理にかかわらず必要;
スーパー・サイエンス・ハイスクール(全国201校)は指定5年目、今後第2次指定を目標に中学、高1への波及、他教科への波及をねらう。国際交流(タイ、オランダ、NZなど)、英語での発表、特許の特別講義などもあり、240名規模での実践は当学園のみ。また独自教材(物理・化学)の評価は高く、11月に本校が主催する授業研究会には全国から100名の教員が来校予定。

5)  グローバル力(国際力);
国際教育部を新設。高1・中3の英国オックスフォード・ケンブリッジ2大学キャンパス国際研修(各30名)は他校にないもの。短期留学生受け入れ、ホームステイ受け入れネットワーク、帰国生編入制度、帰国生保護者会の充実、英語による英語授業、ネイティブ教員による常時の対話室設置、校内の国際化(英語以外の教員英語研修、英語での授業)も推進中。

『慣習の支配はつねに人間の進歩の妨げとなる』(John Stuart Mill :19世紀の英国哲学者・経済学者)

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9月のトピックスは、勿論28日(土)、29日(日)に行われたなずな祭(文化祭)でしたが、天候に恵まれ12、000人を超える来場者(昨年比120%)があり大盛況でした。伝統の口述研究発表会は、10件の研究発表で、英語での発表もあり、中学生全員が熱心に聴きました。内容とともにパワーポイントを駆使したプレゼンテーション技術も進歩し、聴く力も向上しました。日米の老人介護の比較、海外研修の報告、物理・化学・生物・地学各部の研究、鉄道事業の経営、自由研究など多岐にわたり、それぞれ工夫されたものでした。また中学3年のディベート大会が行われ、4課題に対して、肯定・否定に分かれ討議し、論理性説得性などを競い、ジャッジの判定を受け勝敗をきめました。課題も今日的重要課題で、安楽死を法的に認めるか、外国人労働者を積極的に受け入れるか、英語を公用語とすべきかなどでした。

最後に同窓会の新たな活動として、学園卒業の大学在学生対象に、社会経験豊富なOBのサポーターが業種ごとに分かれ就職活動へのアドバイスを実施しました。冒頭のセミナーでは、中堅OBの『仕事をするとは』の基調講演と直近の就職内定の学生の経験談があり、最後は懇親会で交流を深めました。