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2021.07.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#190 自分の将来を今から考える・・・キャリア教育とは生き方の学び

 2021.7.1
 市川学園理事長・学園長 古賀正一

6月20日をもって東京都の緊急事態宣言が解除され、7月11日まで東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県は、まん延防止等特別措置が適用されており(東京は緊急事態から変更、他県は再々延長)、引き続き感染防止対策を徹底しつつ、教育活動を行います。コロナ禍の中でも、生徒の学園生活を豊かに有意義に過ごさせたいということは、教職員全員の思いです。

6月は行事が集中する月で、一部は残念ながら中止、縮小、リモートでの代替などで行いました。
土曜講座(5日)のJAXA宇宙研究所久保田孝教授の講座『世界初の挑戦;はやぶさ2』は、はじめての遠隔・土曜講座となりましたが、約400名の生徒が聴講し感銘し、質疑応答も非常に活発でした。
中学体育大会は、学年別のミニ体育大会とし、2日午前(中1)、午後(中2)、3日午前(中3)それぞれ実施し、無観客ではありましたが、生徒達は十分に楽しんだと思います。特に中3は生徒の自主計画を重んじ、活力のあるものでした。屋外放送設備は新しく使いやすいものに更新しました。

また同じ週は芸術鑑賞会の週でもありました。学内では、芸優座『昇らぬ朝日のあるものを~幻のオリンピアン』(1940年予定され戦争のため返上されたアジア初の東京オリンピックを題材)を上演、中1~中3・高1の4学年が、3回に分散し鑑賞しました。一方高2・高3向けの宝塚花組公演『アウグストゥス-尊厳ある者-』を予定していましたが、東京が緊急事態宣言下のため、残念ながら中止としました。

 

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12日の帰国生保護者会は、急遽ZOOMに切り替えましたが、多くの保護者が参加者しました。内容は「本校の帰国生教育方針(校長)」、「帰国生の英語教育の現状(英語科教諭)」、「帰国生の学園生活(国際教育部教諭)」などが詳細に説明されました。積極的な帰国生の存在は、他の生徒にも良い影響を与えています。
また各学年の道徳等の時間を使った特色ある授業がありました。例えば中1では、市川民話の会の語り部の方に、「真間の手児奈」「八幡のやぶしらず」などの民話を話していただき、市川の歴史・文化を知る機会になりました。また中3では、平和学習として、一橋大学名誉教授吉田裕先生の『アジア太平洋と向き合う』の講演を伺いました。

さて高校1年生はそろそろ2年での理系文系選択に悩む頃です。
本来普通科は、全ての教科の基礎知識を全員がしっかり学ぶ機会であり、専門分化は遅い方が良いが、近年早くから、将来の職業を意識したコース制(教員コース、医師コース)、学科制(理数科、国際科)など高校入学時から方向性を決める傾向があります。
大学入試のために、最後は入試選択別に分けるのは致し方がないが、少なくともリーダー育成には、広い知見と教養が必須で、その土台は高校時代につくられます。本学がリベラルアーツ教育を教育基本方針とする所以です。
学園では、将来の生徒の進路や目標のために、授業以外に、土曜講座やLAゼミ、グローバル講座など各種ゼミ、外部のコンテストへの参加、各学年での卒業生や外部の識者による個別講座などで職業や会社、働き方などに触れる機会をつくっています。
昨年、中3では日経のストックリーグに参加し、「水素社会に向けて一歩」のテーマで中学部門最優秀賞をとり、また全員に企業の課題・ミッションについて調べ発表する探求学習(クエストエデュケーション)を実施しています。

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このようなキャリア教育の一つに、同窓会が企画し、学園と共同実施する『高校生キャリアーセミナ-』があります。今回で4回目ですが、サポータである各分野の職業のOB・OGと高1の生徒がグループ単位で対面対話する会です。しかし今回はコロナ禍の中、OB・OGは遠隔から参加し、ZOOMとZOOMブレイクアウト・ルーム(18室)を利用し行われました。
高校70回生(2018年3月卒)から18回生の幅広い年齢、多様な職業のOB・OG 50数名が各地(海外はメキシコ、国内も山口、京都、山形など)から参加しました。
冒頭小職、校長からの挨拶、続いてOB笠井リーダーよりオリエンテーションを行いました。その後、生徒は業種別18のルームから選び、45分ずつ3ルームに入り、先輩と対話をすることが出来ました。終了後のアンケートで満足度が80%以上(ほぼ満足を加えると100%)で大成功でした。

小職が仕事やキャリア教育について生徒に伝えたいことは次の通りです。

  1. 質問力・対話力の重要性
    仕事・職業・進路について先輩自身の体験に基づいた話が聞ける絶好の機会である。自分の考えや疑問、悩みや迷い、分からないことなど何でも素直に恥ずかしがらず聞くこと。質問や対話で話を引き出す力は重要。成功の話と共に失敗や困難をいかに克服したかも聞いてほしい。
  2. 理系・文系選択、大学の学科選択から職業選択
    当面の関心事だけでなく、少し先の大学を出た後の将来の仕事、職業、生き方を考える良い機会である。これからは理系でも文系のこと、文系でも理系のことの理解が必要不可欠。理文連携・融合の時代である。将来目標から、今の学びや進路を考えてみよう。
  3. 『働くとはどういうことか』を3つ視点で考える
    1) 稼ぐ力と自立:正しく自力で稼ぐ力、生活する力(税金を納める)をもって、はじめて自由が得られる。
    2) 自己実現;自分が本当にやりたいことを探し求め、実現する。将来の夢や目標にむけ、チャレンジする。仕事を通じて人間は成長する。幸福につながる。
    3) 社会への貢献;他の人、世の中に役立つことで社会は進歩する。

人生百年時代、VUCAといわれる先行き不確定・複雑な時代、AIはじめ技術革新の時代の今、生涯学び続け学び直す力即ち『学園の第三教育の実践』こそが重要です。

私の好きな言葉『われ以外皆わが師』の気持ちで、求め吸収することが大切です。人生のキャリアは、求めることによる出会いの集積です。

 

『求めよさらば与えられん』(マタイ伝)