2021.02.01理事長メッセージ
理事長からのなずなメッセージ#185 建学の精神とリベラルアーツ教育の大切さ・・・令和の日本型学校教育の構築(中教審答申)を読んで
2021.2.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一
緊急事態宣言が出され3週間以上が経ちました。重要なことは今回教育分野では一斉休校は要請されず、教育活動の継続、大学入学共通テストの予定通りの実施でした。教育はまさにエッセンシャルな行いなのです。学園としては、感染防止対策を更に徹底し、3学期の授業の充実、入学試験の安全安心な実施、高3生が、大学入学共通テストで十分に実力を発揮できることを最優先の方針としました。3学期授業をスタートし、初の大学入学共通テスト、1月17日の高校入試、20日の幕張メッセでの中学第一回入試も無事終わりほっとしているところです。入試では、会場の入念な事前消毒、入館時の受験生・保護者・学校関係者のサーマルカメラでの検温、必要により再検温と問診、手指消毒、マスク着用の遵守、会場の換気及び3密回避の徹底を行い、安全な入試を行うことが出来ました。感染爆発、医療逼迫の危機のなか、政治のリーダーシップに期待する所大ですが、一方国民一人一人の地道な努力と貢献も大切です。感染防止の真面目な日本人の行動様式、自己抑制力こそ収束に貢献すると念願しています。
さて19年4月に文部科学大臣から中央教育審議会に『新しい時代の初等中等教育』について諮問され、コロナ後を踏まえ、1月26日答申されました。タイトルは『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~』です。
幼稚園から義務教育(小中)、高等学校教育、特別支援教育など幅が広く公立学校を主に念頭に置かれていますが、公私を含めた今後の教育政策の元になるので、注視しなければなりません。日本の教育の良い点を維持しつつ、全ての子供の特色と可能性を伸ばそうと、個別最適な学び(個に応じた指導と主体的学習)と協働的な学び(子供同士、多様な他者と協働)を共に実現することは、今後の教育の本道です。
中教審の答申資料(文部科学省のHP、概要と本文)を読むと、学園の建学の精神とリベラルアーツ教育の考えは、答申を先取りしており、学園の中期計画や年度方針・年度計画等にある施策について自信を持って具現化し、更に前進することが大切であると強く感じています。答申は、新聞等では、小学校5・6年生の教科担任制、高校普通科の特色化改革、GIGAスクールとICTの活用等が注目されていますが、全体としての今後の方向性を下記の通りです。
1.学校教育の質と多様性、包摂性を高め、教育の機会均等を実現する
*基礎学力の保障、才能を伸ばす、社会性育む、学校教育の質を高める *学校に十分な人的配置、一人一台端末、多様化に対し個別な最適学びの実現
*地理的条件にかかわらず教育の質と機会均等
2.連携分担による学校のマネージメントを実現する
*校長中心に組織マネージメント力の強化、学校内外連携 *教師同士の適切な役割分担、外部人材・専門スタッフの活用 *社会とつながる協働的学び
3.これまでの実践とICTの最適な組み合わせを実現する
*ICTの活用による新学習指導要領の確実な実施、個別最適学びの支援、学びの知見の共有 *GIGAスクールの実現、対面指導と遠隔オンライン教育を使いこなすハイブリッド化 *多様な他者と協働的学び、問題発見・解決能力
4.履修主義(年齢主義)と習得主義(課程主義)等を適切に組み合わせる
*個に応じた指導習得と共通な教育、カリキュラムマネージメントの充実
5.感染症や災害の発生等を乗り越えて学びを保障する
*発生時の緊急事態における教育活動の継続 *必要な環境・施設・設備
*臨時休業中の学び保障、心のケア *差別・偏見を許さない
6.社会的構造の変化の中で、持続的で魅力ある学校教育を実現する
*少子高齢化・人口減少の中の教育の持続性 *質の高い教育を地方でも実現
また新時代に対応した高等学校教育については、
A.スクールミッション(目指す学校像の再定義)、スクールポリシー(入学者受け入れ方針、カリキュラム方針、育成を目指す資質・能力方針)の策定
B.普通科の特色化・魅力化の改革 (例えば学際的学びに重点の学科、地域社会の学びに重点の学科など普通科以外の学科の設置可能)
C.STEAM教育等教科横断的な探求学習の推進による資質・能力の育成
(文理を越え教科横断的にすすめる、理数探究、総合的探求の時間)
以上ですが、当学園は建学の精神の「独自無双の人間観」「なずな教育」「第三教育」と教育方針のリベラルアーツ教育・5つの力(学力、教養力、科学力、国際力、人間力)を基盤に、必要な項目のほとんどは、すでに実践していますが、更に質の高い教育を目指し前進します。尚協働的学びは、授業のアクティブラーニングや課外のゼミ、SSHの課題研究、学外コンテストなどで多く実践し、個別最適な学びはICTの活用や個別指導・活動、東大・千葉大・東京農工大で行われているGSC(Global Science Campus)などのオープン講座への参加など多方面で実践しています。ICTは設備の充実と共に経営・事務及び教育(遠隔授業やコンテンツ)に積極的に活用し、更に高度化をねらい、すでに専門のスタッフのサポート体制も構築しています。
(参考資料) 中教審答申の概要と本文は下記のURLでご覧下さい。