2007.03.08理事長メッセージ
理事長からのなずなメッセージ#16 自助力について~第59回高等学校 卒業式挨拶 要旨
理事長・校長 古賀正一
450名の卒業生諸君、心をこめて卒業おめでとう。
卒業は一つの区切りであると共に、目標に向かい、新たな気持ちで出発する日です。諸君は、学園で学び、先生方や多くの友と出会い、様々な体験をしたと思う。その全てが、今の君という人間、人格をつくっています。青春とは肉体の若さだけでなく、実は心の若さが大切です。何事にも挑戦する気概、新しいことに前向きに立ち向かう精神を忘れないでほしい。
さて、今日は諸君の門出に、自助力(セルフヘルプ)ということをお話したい。自助力とは、自分で自分の身を助ける力、つまり他人に依存せず自分の力で自分の向上発展を遂げることをいいます。
日本で今もっとも求められるものは何か、それは自助力です。
一人一人が自立し、国や他者への依存心を少なくし、誰かがしてくれるだろうではなく、自分は何ができるかを考える。少しでも人様に役に立つことです。一人一人の自助力こそが21世紀の日本の発展の鍵をにぎると私は思っています。
明治時代、多くの若者が読み感動した本で、サミュエル・スマイルズの『自助論(セルフヘルプ)』という本があります。英国で出版され、日本では中村正直(敬宇)により翻訳され、『西国立志編』として発行され広く読まれました。「天は自ら助くるものを助く」 の書き出しで、自助力で成功した300人以上の事例が書かれています。
繰り返しますが、自助力とは自ら勉学に励み、勤勉に働き自分で自分の将来を切り開く力のことです。他人に頼らず、自己実現してゆくことです。勿論人間はいろいろな人のお蔭で生きていく、生かされている、その感謝の念を持ちながら、自分の人生は自分の力で切り開くしかないのです。
諸君はもうすぐ一人前として扱われます。自立し、自分で考え、自分で調べ、自分の責任で行動することが多くなります。これはまさに本学園でいう第三教育です。
第三教育の力こそ、自助力であります。第三教育センターの前に、『私の願い』として書いたように、諸君には第三教育の達人つまり自助力の強い人間になってほしいのです。
スマイルズは、自助力を磨く為には明るく忍耐強いこと、誠実であること、何より勤勉であることが大切だと言っています。私の長い人生経験からもスマイルズのいうことは正しいと思います。この本は『自助論』として竹内均氏の訳で三笠書房の文庫にあるので、是非読んで見てほしい。きっと勇気づけられるでしょう。
諸君が生きて行く21世紀はグローバル時代、情報時代であり、更に技術や知が爆発的に拡大する時代です。インターネットなどの進展は時間や空間の壁を取り除きました。グーグルなどを通し、居ながらにして世界中の情報や知を得られる時代です。
しかし情報や知を得てもそれだけでは価値がありません。広く且つ深く学び、自ら考え、問題を解決し、新しいことを創造することが重要です。諸君はやりがいのある時代に生き、活躍の場は大きいと思います。
最後になりますが、諸君は卒業にあたり、ご両親はじめ先生やお世話になった方々への感謝の気持ち、この日本に生まれたしあわせ、他人への思いやりの気持ちを是非忘れないでほしい。人間は多くの人のおかげで生かされているのです。
70周年を迎える市川学園はこれから次の10年に向け更なる成長を続け、卓越した教育を追求してゆきます。
そして学園は常に、諸君の心のふるさとです。いつでも立ち寄ってください。心から歓迎します。門出を祝し、諸君の将来が希望に満ち輝くことを祈ります。
第59回 市川高等学校 卒業証書授与式
07年 3月 5日(月)午前10時 卒業生 450名