2015.04.01理事長メッセージ
理事長からのなずなメッセージ#114 「第三教育」は家庭からはじまる
2015.4.1
市川学園理事長・学園長 古賀 正一
学園の周辺の桜、大柏川、真間川の桜も満開に近く、やはり桜は日本固有の花であり、心も華やかになります。外国から来られる方々も花見をし、桜の美しさに感動する光景がテレビで報じられる昨今です。
新年度も新任の先生を迎え、教職員の人事も発表されました。毎年の決まった行事である教員室の席替え、新任教職員研修、教科、学年、部ごとの集会、教職員健康診断、教職員年度方針発表会議など続き、新学期への準備をととのえ、始業式、入学式を迎えます。また新年度は、年度初めに全ての教職員のPCを更新し、作業効率を向上させます。
第三次中期計画2年目、「常に進歩する学ぶ共同体市川学園」として、一段の飛躍を期し、生徒の能動的学びにむけて教育を前進させます。新年度は新中学1年生327名、新高校1年生423名(内進、高入合計)を迎えます。
A. 今月の話題…「第三教育」は家庭からはじまる
学園は建学の精神を基本に、教職員の絶えざる研究・研修により、教育の進歩を続けています。また教育環境向上のためソフト・ハードの積極的教育投資を続けてまいります。
2017年には、創立80周年を迎えますが、その記念事業として、学園隣接地に人工芝の総合グラウンド(約5000坪)を計画しました。しかし一刻も早く生徒の皆さんに使ってもらいたく、2年前倒しで着工し、このたび完成しました。従来第一グラウンドにバスで移動していた体育授業は、全て本校舎敷地内で完結します。また総合グラウンドの完成で、第一グラウンド、第二グラウンド、大野グラウンドと合わせ、4つのグラウンドを保有することになります。授業や部活で身体を存分使い、頭も心も体も共に成長することを念願しています。「健全な精神は健康な身体に宿る」(ユベナリス;ローマ時代の詩人・弁護士)
建学の精神の自ら学ぶ「第三教育(自ら自発的能動的に学ぶ、自分を自分で教育する)」の力は、お手本のないグローバル時代にこそ、未知の課題を解決する力、能動的に考え判断する力、多様な人と交流する力として重要です。これからの日本の教育は知識や技能の土台の上に、思考力、判断力、表現力を養い、更に主体的能動的な学び(アクテイブラーニング)が重視されます。学習指導要領、高校教育、大学教育、大学入試制度の改革にも反映され具体化されますが、学園はこれを先取りした試みをしています。
主体的能動的学びは、実は「第三教育」の具体化と言ってもよいでしょう。「第三教育」は、「第一教育(家庭教育)」「第二教育(学校教育)」の次に来るものでなく、「第一教育」「第二教育」の中で自得されるもので、社会に出てからは「第三教育」だけが残ることになります。
「第三教育」は、まずは第一教育即ち家庭での学びから始まります。ご家庭に書棚と良書を備え、家族で共に読書すること、共通の話題を話しあうこと、家族一緒の種々の体験をすること、親戚やご両親の仕事の話、家庭での役割分担などを通じ、生徒は自分で学ぶことを覚えます。生活の基本、良い習慣、マナーは、家庭で土台がつくられます。
第二教育である学園の教育では、教師が一方的に教える入力型授業だけでなく、事前に調べ、まとめ、討議・対話・発表する能動的アウトプット型授業、少人数教養ゼミ、SSHの実験学習・課題研究など、自分で考え友人とも共同で学ぶことが多くなります。また「第三教育」の力を獲得するには、まずは読書であり、いろいろな人生や生き方を学ぶことが大切です。
特に『市川学園100冊の本』(詳細は『理事長からのなずなメッセージ№14 市川学園100冊の本~知の旅への出発』 をご参照ください)など、古典や長い間読み継がれた本は間違いがありません。疑問を持ち、自分で調べ、自分の頭で考えてみること、友人と共に学び合うことの蓄積が大切です。
学園を卒業し、大学や社会に出るとますます「第三教育」が重要になり、「第三教育」だけが頼りです。更に高齢社会では自分で学び好きなことを学び続ける力こそが、人生の幸福につながります。「第三教育」は、家庭から始まり、一生涯続くものであり、生徒の皆さんは「第三教育の達人」を目指していただきたいと思っています。
B. 3月の主な学園行事
1. 4日(水) 第67回高校卒業式・・・卒業生443名。午後は謝恩会を行った。
2. 5日(木)-10日(火) 期末(年度末)試験
3. 5日(木) 教職員向け産業医の講話
4. 8日(日) 高校新入生向けガイダンス実施
5. 12日(木) 第41回教職員向けなずなセミナー森上研究所長森上展安氏
6. 14日(土) SSH二期目初年度の年度末課題研究発表会
口述発表4件、ポスター発表116件(数学5、物理42、化学37、生物32)実施。午前中は、本校生徒による「第10回小学生対象実験体験講座」実施。近隣小学生約200名来校。算数5、物理13、化学8、生物6など32件の講座および実験に小学生・保護者共に熱心に参加。高校生も教えることの楽しさ難しさを体験。
7. 14日(土)-29日(日) 恒例の高1ニュ-ジーランド国際研修
生徒40名、教員2名、添乗員1名。ホームステイと提携校との交流、語学研修、アウトプット型学習、デイベート学習、大学や地域訪問など多彩。
8. 18日(水)-19日(木) 年間総括報告会
学年、教科、校務部が1年間の活動を総括・報告する。PDCAを意識し単なる振り返りでなく次年度の実行につなげる。
9. 22日(日) 吹奏楽部第43回定期演奏会
10. 21(土)-27日(金) オランダの高校生来校
オランダ国ホフスタッドリセウム校の生徒8名(男子4名、女子4名)教員2名がSSH活動交流として来校。本校生徒の自宅にホームステイし、様々な交流を行った。
11. 23日(月) 第68回中学卒業式
卒業生327名。初めての試みとして、式後生徒・保護者・教職員が教室で祝いの弁当を食べ、午後古賀アリーナで、卒業を祝う会を実施(クラス単位、有志による出し物)。主催は、後援会および卒業生。
12. 24日(火) 中高合同終業式
校長からの講話の後、上記のオランダの高校生によるプレゼンテーションを聴講。また、退職教員離任式、同窓会による活躍した生徒の表彰式も行った。