2016.12.01理事長メッセージ
理事長からのなずなメッセージ#135 土曜講座14年・・・継続こそ力なり
学園建学の精神の自ら主体的に学ぶ『第三教育』の実践として、各界の有識者のお話を聞く『土曜講座』を開講しています。新校舎完成と共学スタートの平成15年度から実施し、14年が経過しています。
中学1年生から高校3年生まで自己の希望で選択するもので、年間8日、1日1-2講師、合計12-16人の多忙な講師の方々に時間をさいてご登壇いただいております。いずれのご講義も生徒達に大きな刺激を与えていただき、本当に有難いことです。
講師の皆様はノーベル賞受賞者、宇宙飛行士、オリンピック選手、企業経営者、官僚、大学学長、教授、技術者、研究者、起業家、作家、芸術家、NPO法人の代表者など多士済々で、これまでに累計220名以上(卒業生を含む)の方に来校いただいています。教養教育、将来のキャリアのための教育、一流の方の生き方を学ぶ教育など、それぞれの講師の経験のにじみ出るユニークな講座です。約70分―80分の講演を伺い、その後講師に直接質疑応答をする時間も設けています。生徒は受講レポートとして、内容と感想をA4で1枚を書くこと、総合学習の一環として年間1回以上受講することのみが義務付けられています。受講レポートは、代表例を講師の方にお送りしています。席に余裕がある場合には、保護者の方にも参加いただいています。
生徒たちは意欲的で、年間延べ6000名が受講しております。特に中学生の理解力には驚きます。本年10月、日本赤十字社の広報主幹中田晃先生が『知られざる赤十字の活動』のテーマで話されましたが、送付した受講レポートをお読みになり次のような感想を述べておられます。
「前略・・生徒さんが的確に講義の本質を捉え、中には中学生低学年と思えぬほどの立派なものを書かれている生徒さんもあり、深く感銘をうけた次第です。これは恐らく土曜講座という形で各界の様々な方々のお話を伺うという貴学の教育方針が見事に成果を生んでいる証ではないかと拝察しました。とりわけ高校2年女子の感想では、小職に対しての思いやりの心情を示され、平和のありがたみを実感され彼女の想像力の豊かさ、人を思いやる気持ちの深さに感銘しました。・・後略」(一部要約)
土曜講座は、都合でその講座に参加できなかった生徒のために、『実況中継;土曜講座』として講師と講義内容の紹介、生徒の主な質問と回答など記述されたものが、大きな用紙に印刷され、校内数箇所に張り出されます。講義内容は、講師の許可を得て撮影し、DVDとして保存し、生徒や教師の希望により貸し出し、図書館(第三教育センター)内の24台のPCで受講することが出来ます。また希望者を募る際は、講演題目、講師紹介、講義のポイントを書いた『第三教育(土曜講座)のすすめ』が配られます。
各講師の方には、講義後生徒へのメッセージとして色紙を書いていただいています。最近の例の一部を紹介します。
- 大きな夢を持ち、それを追い続けよう(根岸英一;ノーベル化学賞受賞者)
- 夢をつかむ(安西祐一郎;学術振興会理事長)
- festina lente ゆっくり急ごう(村上陽一郎;東大・ICU名誉教授)
- 天才とは努力なり(谷口博昭;元国土交通省事務次官)
- 寛則得衆自他共栄(鈴木寛;文部科学大臣補佐官)
- Practice makes perfect! 英語なんてやれば出来る(安河内哲也;東進ハイスクール講師)
- Create the Better World! よりよい世界を!まず一歩から(石倉洋子;一橋大名誉教授)
- 未来創生に向けて!(村瀬雅俊;京大基礎物理学研究所教授)
また土曜講座には、ノーベル賞受賞者の先生にも来校いただきました。平成26年11月19日根岸英一先生(化学賞)『夢を持ち続けよう』、平成23年5月7日小柴昌俊先生(物理学賞)『やれば、できる』です。
今年はノーベル生理学・医学賞が東京工業大学の大隅良典栄誉教授に贈られることになり、日本中に喜びが駆けめぐりました。3年連続の日本人受賞、しかも単独での受賞です。『オートファジー(自食作用)の仕組みの発見』という、根源的な生命現象の基礎的な研究といわれています。実は平成18年10月14日大隈先生をお招きし、『タンパク質―生命を支える分子の不可思議―』のタイトルで、土曜講座で講演をいただきました。ノーベル賞受賞者の土曜講座が、3人目となり、ご縁を感じます。
大隅先生の快挙で、日本人(外国籍を含む)の受賞は25人、うち自然科学系は22人(物理学11、化学7、生理学・医学4)になり、且つ21世紀に入っての自然科学系3賞の受賞は16人と米国に次ぎ2位を堅持しています。大隅先生のますますのご活躍を祈念し、今月のストックホルムでの授賞式と受賞記念スピーチを心からお祝いしています。
将来学園からもノーベル賞受賞者を、是非とも輩出したいものです。