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2024.01.31理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#221 美点凝視・・良い点を発掘し伸ばそう

2024.2.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 中学 第1回入試(幕張メッセ)
 能登半島地震発生から1ヶ月が経ちました。寒さの中、被災された方々の生活困難を思うと胸が痛みます。受験生の皆さん大変ですが頑張って下さい。被災された皆さんの生活が一日も早く改善されることを祈っています。
 1月2月は毎年入試の月、大学入学共通テスト(13,14日)、当学園の高校入試(17日)、幕張メッセでの中学第1回入試(20日)、中学第2回入試(2月4日)、国立2次試験(前期2月25日~)と続きます。幕張メッセ入試は、コロナ前に完全に戻し無事終了しました。共通テスト後も、日曜日を含め連日学園で学ぶ高3生の顔が引き締まり、心から応援しています。全力で最後までやり抜いた達成感は、合否にかかわらず今後の人生で大きな力になると思います。

 今年は、世界的には選挙の年と云われており、戦争・紛争が平和な方向に前進することを念願しています。また身近では、今年は昭和99年、千葉県誕生(1873年)150周年の行事が6月まで続き、市川市は市制施行90周年の年です。1934年に市川町、八幡町、中山町、国分村の合併で市川市が誕生しました。学園は、その3年後1937年に創立され、市川市と共に成長してきました。この近辺では、当時旧制中学校(男子5年制中学校)は、私立は開成中、公立は千葉中、佐倉中、府立3中しかなく、新しく私立市川中としてスタートしました。3年後の創立90周年の節目を目指し、更なる進化・発展、改革をめざす年とする決意です。

 さて今我が国は、政治・経済・教育・生活等の課題山積ですが、大切な資源である人の課題が多く取り上げられていることは良いことです。資源国でない日本の唯一の資源・宝は、勿論人であり人財です。人手不足、人への投資、賃上げ、働き方改革、子育て・教育支援、移民・留学生など主として人の数への課題は重要です。22世紀に向かい人口6000万~8000万維持の対策は急務です。一方一人一人が存分に力を発揮する質の課題も重要です。GDPがドイツに抜かれ世界4位を問題視していますが、一人当たりのGDP(現在世界32位)、一人一人の生産性、能力開発、生活・仕事の充実感・幸福感がより大切です。年齢によらず学び続け適所で働き、力を発揮できること、誰もが充実した教育を受けられ、個性を発揮できる社会づくりが重要です。教師の数の充実と質の向上は不可欠です。

 人財重視の中で、人の「美点凝視」良い点を見て発掘し伸ばし、誉めることが大切と感じる昨今です。どんな人にも個性・特色・美点があり、それを存分に生かす教育が大切です。特に中高の伸びる時期に、美点凝視、特色をじっと見つめそれを伸ばす、誉める、激励することです。まさに学園の建学の精神の一つである「なずな教育」の深い実践です。芭蕉の句「よく見ればなずな花咲く垣根かな」は、なずなの目立たない美しさに感動する美しい句です。花を人にたとえれば、大輪の菊のように、立派に活躍する生徒をより高くチャレンジするよう支援すると共に、なずなの花のように目立たない生徒の美点を凝視し良い点を発掘し誉めることが重要です。今学園は公式表彰だけでなく、生徒が何かを達成すると、随時学年集会やクラス等で積極的に表彰し、全員で喜び合う姿が多く、将に美点凝視の実践です。
 学校特に私立学校は、建学の精神のもと、各校が異なる特色ある教育を伸ばすことが不可欠で、美点凝視です。いたずらに流行を追い、他校の真似や追従するだけでは良い教育はできません。

 また卒業生の活躍も、美点凝視で同窓会が取り上げ、同窓会報やメールで紹介し、また卒業生も同窓会活動に積極参加し、キャリアセミナーや種々の特別講座、保護者交流会などで、後輩の支援をしてくれています。学園訪問やメールなどでの近況報告も多く、中高時代の先生や友人の影響は一生忘れないと云っています。最近の多くの嬉しい事例の一例をあげます。卒業生A君(高校56回卒、38才)から当時世話になったK先生への手紙です。(要約)「昨日、宇宙科学振興会より、宇宙科学奨励賞を受賞しました。理学も工学も含んだ、宇宙科学のあらゆる分野に所属する全ての若手研究者を対象とした規模の大きいものですが、今回運良く受賞しました。市川学園での勉強が今の研究の基盤になっており、市川学園の先生方からの教えが何年経っても役に立っております。感謝の気持ちもあわせて、ご報告させていただきました。もうすぐ高校3年生が、共通テストや国公立・私立大学の入試を迎える時期かと思います。当時、第一志望の大学に落ちた自分が言うのも大変おこがましいのですが、後輩には第一志望校の合格に向けて頑張ってほしいと思いますし、応援しています。」

 学校教育の美点凝視だけでなく、一般企業や社会も同じです。組織運営や人事、教育、事業も自社の特徴を伸ばす集中と美点凝視が肝要です。 我が国は今閉塞感があり改革・改善は急務ですが、足もとの美点・良いところをもっと発掘し伸ばし自信をもつことが必要です。売り上げ100億~1000億クラスで各業種の特色ある光る企業は多数あります。外国人観光客が世界でもっとも訪問したい国の一つは日本です。若い人の起業成功事例(学園卒業生も最近起業成功が多い)、地域の特色を生かした町づくりの良い事例など増えています。
欠点指摘から美点凝視へ、問題指摘から問題解決へ、マイナス思考からプラス思考へ、悲観から楽観へ、不満から感謝へ、内から外へなど、自分事についても良い点を見つめ自信を持ちたいものです。

 百の欠点を無くしている暇があるなら、一つの長所を伸した方がいい。
                    ピエール=オーギュスト・ルノワール(仏 画家)