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2023.09.30理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#217 読書時間、習慣、環境の大切さ・・・幼児の絵本からはじまる読書

2023.10.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 2学期は、生徒にとって思い出に残る行事の多い学期で、なずな祭(文化祭)、高校球技大会、中高それぞれの修学旅行などがあります。
 9月は、特になずな祭の準備に集中し、無事23日(土)24日(日)の2日間を終了しました。限られた日数の中で計画、準備、協力、創造する喜びを通し、自分たちも楽しみ、お客さんにも楽しんでもらう思い出のイベントでした。今年は生徒、保護者のみだけでなく、卒業生を含む一般の方にも公開しました。県内のインフルエンザ感染症増加の傾向もあり、演者以外の生徒・教職員はマスクを着用し、観客の皆様にも可能な限り予防対策に協力いただきました。総合グラウンドでの閉会式では、ドローンによる全員の撮影もありました。今年のテーマ「千紅万紫」の通り、色とりどりの花が咲き誇るように、一人一人の個性が花開き、自分らしさを発揮し楽しむ文化祭でした。ポスターは、テーマにそった多数の応募作品の中から投票で選ばれました。
 昨年は同窓会の設立80周年でしたが、総会、祝賀会が実施できませんでした。今年こその思いで、80周年実行委員会が企画し、1年遅れの11月12日(日)開催のご案内が全卒業生に送付されました。並行して、14の支部(地域および職種)、クラブ活動OBOG会、同期会などが活発に対面で行われ嬉しい限りです。80周年記念事業として、すでに10年記念誌の発刊、同窓会誌なずな24号の発行、学園創立100周年(2037年)に開梱するタイムカプセルの設置と在校生・卒業生が自分に宛てた手紙の投函が完了しています。また家計急変や経済的に困難な生徒の支援のために、同窓会から毎年寄付をいただけることになり、「市川学園同窓会および後援会教育奨学金」として新たに発足しました。
 学園の価値とは何かを考えるとき、建学の精神が深く実践されていること、現在の教育の内容と生徒の成長、保護者の満足が大切ですが、最終的には卒業生の各分野での活躍と同窓会の活発な活動であると思います。お蔭様で本学園は、4万人の卒業生を輩出し、国内外各分野で活躍されており、また同窓会活動が活発であり、物心両面で学園を支えていただいています。卒業生の皆さん11月12日(日)80周年総会・祝賀会に是非おいで下さい。お待ちしています。
 さて毎年4月に実施される全国学力・学習状況調査(中3:国語・数学・英語、小6:国語・算数、中3小6共に学習状況質問紙調査)の今年度結果が7月31日発表されました。詳細の報告書は、国立教育政策研究所からネット上に公表され、教科と質問紙調査の詳細結果と分析、質問紙調査と教科学力の関係を示すクロス分析も為されています。
     *報告書のURL;  https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/
 生徒への質問紙調査で、特に読書に関し、読書が好きか、1日当たりの読書時間、1ヶ月に読む本の数、家にある本の数、新聞を読むかなどに対して、肯定的または数の多い生徒は、そうでない生徒に比べ全ての教科の正答率が平均的に高いことが示されています。例えば家にある本の数が0~25冊、26~100冊、101冊以上で比較すると明らかに冊数の多い家の生徒は、小学校、中学校共に正答率が高い結果が出ています。これらは極めて当然なことで、あらためて調査を見るまでもなく、全ての教科の学習には、読書の習慣、読書の環境が大切なことを示しています。ご家庭に本が沢山ある、保護者の皆様が本を好きであることは、お子さんが読書好きになり、自分で学ぶ力をつけるために大切なことだと思います。
 学校で本を読む環境も極めて重要です。学園の建学の精神である自ら学び生涯学ぶ第三教育は、読書から始まり、図書館はその拠点です。学園で図書館を第三教育センターと呼称している所以です。一番よい場所である本館1階玄関右側に広く設置し、朝7時から自由に本が読めるよう150席の閲覧スペースと12万冊の本を用意しています。また国語などの授業をこのセンターで行い、その学年の授業テーマとしている西洋文学、随筆などに関して、自分で本を選び、読み、発表するなど能動的学習を行っています。また各学年の廊下にも本棚を備え、対話をする学びの共通空間を整えています。
 更に大切なのは幼児の頃からの読書です。3つの幼稚園共に絵本の図書館として各園600冊以上の絵本を用意し、各幼稚園推薦の「100冊の絵本」の冊子があります。常に多くの園児が本を借りて、保護者と一緒に読みまた園児自身が一人で楽しんでいます。幼稚園の一つである第2幼稚園では、「えほん・まんなかプロジェクト」として絵本作家をお招きし、作家自身による読み聞かせやワークショップ(製作)、寄贈いただいた作家の原画を見て、その美しさに園児が感動するなど読書に力を入れています。また年長組では、絵本専門店に行き、自分たちで絵本を探す遠足もおこなっています。

 
 毎週日曜日朝6時台にNHKラジオ第一で放送される「落合恵子の絵本の時間」の冒頭のナレーション「絵本は生まれて初めて本というものに出合う最も小さな人から年齢制限なし、深くて豊かなメディアです。」の通り、絵本は子供にも大人にも分かり易く、しかも深く示唆に富んだ本が多いのです。