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2022.04.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#199 建学の精神の具体化・実践こそ私学の道

22.4.1.
市川学園理事長・学園長 古賀正一

3月末宮崎章校長が任期を終え退任し、4月1日より及川秀二副校長が新しく校長に昇格、新校長のもと新しい体制でのスタートです。第5次中期計画(2022年度~25年度)の開始の初年度であり、新校長のリーダシップのもと推進します。8年間の長きにわたって校長を務められた宮﨑前校長は、リベラルアーツ教育初め当校にアカデミックな新風を吹き込んでいただき、退任後も特別顧問として勤務されます。及川秀二校長は、市川高等学校第31回卒業生で、学園数学教師として40年間勤め、広報部長、教頭、副校長を歴任しました。

毎年 年度初めの行事は大体似ていますが、人も変わり、いつも同じではなく、毎年新鮮な気持ちでのスタートになります。4月1日には朝礼で、理事長・校長の挨拶、新任教職員の紹介から始まり、辞令交付、新任教員研修が始まり、教職員室座席の移動がおこなわれます。翌日から各教科・学年・部などの会議、6日には年度方針発表会議、7日始業式、8日中学・高校入学式、その後中学、高1オリエンテーション、中学・高校保護者会、生徒健康診断と続きます。

さて建学の精神は、それぞれの私学の神髄です。本校では単なるスローガンやコンセプトではなく、具体的に教育活動で実践し大いに進化させています。本学の建学の精神は、不易であり、一方これからの教育を先取りしています。建学の精神の第一は、『独自無双の人間観』即ちかけがえのない個(オンリーワン)の重視、多様性の尊重です。2003年男子校から共学へ変更し、帰国生に門戸を開きました。現在40ヶ国以上の国々に滞在経験のある生徒が340名在籍しており、英語特別授業(取出し授業)も実施しています。また高校入試では、一般、帰国、単願推薦、単願推薦特技(スポーツ・科学・芸術・文化分野で顕著な成績)などを通じて多様な生徒が入学しています。

第二は『なずな教育』です。一人一人をよく見る教育であり、個性を重視した個の教育を目指すことです。ICTをツールとした教育が進み、個別対応教育が容易になりました。授業以外に、部活、行事、外部発表などの機会を与え、自分のやりたいことができる環境を整え、自主的積極的な校内外での活動を奨励しています。
目立つ生徒だけでなく、なずなの花のような目立たぬ生徒にも眼をかけること、また少人数特別ゼミ、個別の質問対応や進路相談にもきめ細かく対応しています。また悩みや問題を抱える生徒に対してのカウンセリングも充実し、日々の相談だけでなく、居場所として安息の場の「ほっとるーむ」があるのも特色です。

さて、先日 今年の卒業生の母親から概要下記のような感謝のお手紙をいただきました。

「・・・受験下見の折、風通しのよい応対と校風に胸を打たれ、受験し合格の知らせをいただきました。それから3年間、娘は学園で先生方からたくさんの愛情をいただき、貴重な友情を手にしたようです。「学校が楽しい。卒業したくない。」と何度も申しておりました。先生方の大きな愛に包まれて、娘は厳しい大学受験も粘り強く乗り切ることができました。ゆりや胡蝶蘭のような人目を引くような花ではありませんでしたが、この遅咲きの小さな「なずなの花」を優しく温かく見守っていただき、本当にありがとうございました。娘は市川学園で過ごしたたくさんの思い出を胸にこの先も一歩一歩迷いながらも、自分らしく人生を切り開いていってくれることと思います。・・・」

第三は、自ら学び考え生涯学ぶ『第三教育』であり、昨今言われる能動的学習や学び直し(リカレント教育)などは全て第三教育です。第三教育で特に重要なのは読書であり、図書館は第三教育の拠点です。中学高校時代に、読書習慣を持つこと、図書館を利用し調べる体験をすること、多くのよい本に出会えること、友人と本を紹介しあうことは人生のかけがえのない宝物です。
学園では図書館(蔵書12万冊、閲覧席187席)と付設の3階自習室(104席)を合わせて「第三教育センター」と呼称します。朝7時から夕方6時まで開館しているので、始業までの1時間はゆっくり本を読み調べる黄金の時間です。中学の朝の「10分間読書」、読書紹介「ビブリオバトル」、高校での「ブックトーク」、古今東西の哲学書を熟読し対話により考えを深める「市川アカデメイア」、テーマ別本の展示、各学年廊下にある本のコーナーでの読書、生徒の読書会など読書の機会に満ちあふれています。

最近の学園の特色は図書館でおこなう授業です。中1の国語では週4時間の内1時間を割き、「リーディングワークショップ」をします。冒頭と最後に講義と振り返りはあるが、大半の時間は、自ら選書し読む場所を自分で見つけ、没頭して本を読む時間です。

「良き書物を読むことは、過去の最も優れた人々と会話をかわすようなものである」ルネ・デカルト(フランスの哲学者・数学者)

独自無双の人間観
かけがいのない個性、持ち味、異なる可能性を大切にする教育

よく見れば精神
「よく見れば なずな花咲く 垣根かな」 1人ひとりをよく見る教育

第三教育
家庭の第一教育、学校の第二教育、一生涯、自ら学ぶ第三教育